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ディンと殴る

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夢って、腐っちまうのさ Part-1

Part1です。



「おい、修斗や。修斗。」
父が僕を呼んだ。

「はい、なんでしょう?」
僕は答えた。

「ちょっとこの辺りを掃除しておいてくれ。」
父が言った。声は正門から届いている。

「はい、わかりました。」
僕は答えた。基本的に僕は従順な人形でいるのだ。
父の前だけではあるが。
僕は近くにあった、竹箒を掴み正門へ向かった。

「すまんね。では俺は町内会の集まりに行ってくるから。」

父はそう言って、玄関に戻ると禿げている茶褐色のコートを羽織って出掛けて行った。
外では風鈴のような、涼しい音が鳴っていた。
町内会の集まりに行く、というのは父の決まり文句である事は、最早周知の事だった。
父は、ああやって空いた時間に母の墓参りに行くのだ。
ある人は未練がましいとか、心無い事を言うが、僕は父の事をそう思った事などなかった。
ああして、母が他界してから6年が経っても尚、この日課を続ける事が格好良く思えていた。
勿論、格好付けや、欺瞞の為に続けている訳ではないだろう。
そうした父の背中を見て育った僕は、幼い頃の母の死を悲観的に思うことなく育ったのである。
だからと言って、母に対して何も思っていないとか、そんな事は決して無い。
小さい頃こそ、何度も何度も母の墓参りに行こうとしたものだ。
しかし、父はそれを良しとしなかった。母の事を思うあまりに、
僕が塞ぎ込むのではないか、という懸念があったのだろう。
墓参りに行くのを、父が厭がることを気付いてからは、
あまり父に知られぬように行くようにした。だから、中々その機会がないのだ。
人形である僕が外出を伝えると、勘ぐられてしまう。
だから、二週に一度だけある、隣町への買出しの時だけ
父に知られぬように母の元を訪れるようにしているのだ。

「おや修斗くん。掃除かい、偉いね。」
はす向かいに住んでいる小父さんだ。
何かと僕に良くしてくれるので、僕は好きだった。
ただ、時々皮肉めいた冗談を交わす(父曰く「あれは冗談にならない」そうだが)が、
それも含めて僕は好きだった。

「小父さん、今日は。」
僕は少々控えめに挨拶をした。
掃除をしていると褒められたが、
実は竹箒を持って考え事をしており、今から掃除を始めるところです。
なんて答える訳にもいかない。

「そうか、それでは頑張ってね。じゃあ又。」
小父さんは特に追従することもなく、帰ってくれた。
それと同時に僕は掃除という作業を思い出し、いそいそと作業にかかった。

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00:46 : たけのこのマーチトラックバック(0)  コメント(0)

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